第X1話 2人がまだ仲良かった頃の話#1

おはなし

ちょっと前。

いや、もっと前。

いやいや、さらに、だいぶ前の話。

チュッチューセッセ工科大学。

国内有数の理工系名門大学。

優秀な学生たちが全国から集まっていた。

そんなすごい大学に、なんと

若き日のナスビー博士は

入学することになった!

それも・・・

父親のコネを使った

裏口入学により!ガチャコーン!

・・・以前少し触れたが

ナスビーの父は有名な冒険家であり考古学者でもあった。

ナスビーにとって、父親の名誉と財産は、当然にあるものだった。

彼は平然と大学に通い

裏口入学をした自分を恥じることなく、活き活きとしていた。

「やったー!ラッキー☆」

くらいの感覚である。

今にも人に言ってしまいそうなくらい

罪の意識は薄かった・・・。

一方で

同年、若き日のニラッチ博士も、同じ大学に、入学した。

ニラッチは大学側からのオファーを受け

学費は全額免除だった。

彼は子供の頃から機械を直したり、ロボットを作る才能が際立っていた。

いわゆる天才であった。

しかし、その性格は、見た目からも、ご想像の通り

プライドが高く、他人に厳しく、常に人を見下しており

決して人格者とは言えなかった。

ニラッチがこんな性格になってしまったのは

それなりに理由があった。

その理由は、ニラッチの小学校からの同級生であるみょうがの『ミヨ子』を通して

のちに、ナスビーへと語られることとなる。

さて、ナスビーとニラッチ、正反対に見えるこの2人の出会いは

これがはじまりだった。

・・・

大学1年目の春、キャンパスにて。

ニラッチ「ハアッ・・・ハアッ・・・!全く、しつこいなっ・・・!」

ミヨ子「ニラ様~~~~っ!待って下さ~~~~いっ!」

正門から続く、幅の広い一本道を走ってくるニラッチの姿があった。

その後ろをもの凄い勢いで追いかける、黄色い声の女性がミヨ子だ。

ミヨ子「きゃあ!!!」

ミヨ子はメインストリートで大々的に転んだ。

高さ9cmのハイヒールをくじいたのだ。

ニラッチ「チャンスだ・・・っ!」

ニラッチは4階建ての講義棟(授業をする教室が集まっている建物)に入り込み、慌てて階段を駆け上がった。

とりあえず、どこかに身を隠したいニラッチ。

授業中の教室もあった。

まずい、このままではミヨ子がすぐに追いつく・・・。

そう思ったとき、目先を見上げると『発明サークル』と書かれた表札プレートが廊下に突き出ていた。

ニラッチ「・・・っ。」

ニラッチは、ノックせずいきなり『発明サークル』のドアノブを握り押し入った。

ガチャドン!

そして慌てて扉を閉め、内側からカギをかける!

ナスビー「わっ!!!」

なんと、中にいたのは、全裸のナスビーだった。

ニラッチ「ギャーーー!!!」

ナスビー「なんだなんだーーーっ!今、実験中だったんだーーーっ!」

ニラッチ「実験中だとっ!!!???クソっ!変な部屋に入ってしまった!!!」

ナスビー「自分から入ってきて変な部屋とはなんだーっ!!!」

出会いが、これである。(笑)

はっ!と我に返り、ミヨ子のことを冷静に思い出すニラッチ。

ニラッチ「確かに勝手に入ったのは俺だ。すまないが、追われている!!!ここで少し隠れさせてくれ!」

ナスビー「追われてるって、誰に?!」

ニラッチ「知り合いの女子生徒だ。」

ナスビー「え?女の子?」

ニラッチ「事情は後で説明する!とにかく、しばらくここにいさせろ!」

ナスビー「なんか変な人が来ちゃったなあ・・・まあ、いいか、仲間が増えるのは楽しいことだ!」

ニラッチ「仲間?」

ミヨ子「ニラ様~~~~っ?どこですか~~~~っ???」

廊下でミヨ子の声がする。

ニラッチ「あの女だ。通り過ぎるまで、居留守をしてくれ。」

ナスビー「わかった。」

ミヨ子は、片っ端から怪しい部屋をノックしていた。

コンコン・・・

ニラッチ「・・・来るぞ、音を立てないでくれ。」

ナスビー「わかった。」

ナスビーは全裸のままじっとしていた。

ニラッチ「(・・・それにしても最悪の場所に来てしまった。こいつ裸で一体何をしていたんだ。)」

まあ、急に部屋に入ってしまった自分が悪い、そうモヤモヤするニラッチだった。

コンコン!

ミヨ子は発明サークルのドアをノックした。

ミヨ子「すみませーん!ニラ様~~~~!いらっしゃらないですのー???」

ニラッチ「・・・。」

ナスビー「かっ、かわいい声!」

ニラッチ「っ!(静かにしてろ〜〜っ!)」

ナスビー「女の子が来るなんて滅多にない!これは神様がくれたチャンスだー!」

ニラッチ「(は!?こいつ、どうした、意味がわからん!)」

ナスビーは(全裸のまま)ドアの方に寄っていった。

ナスビー「きみ!発明サークルに入りたいのかい?」

ドア越しに話す。

ミヨ子「え・・・。そういう訳では・・・。」

ナスビー「オレは今、発明の実験中で『服を着てなくても、服を着てるように見えるプロジェクター』を作ったんだ!本当に成功してるか、見てくれない???」

ニラッチ「(何を言ってるんだコイツは?)」

ミヨ子「キャ~~~~っ!!!むり~〜〜〜っ!!!」

ミヨ子はドン引きしてその場から猛ダッシュで逃げていった。

ナスビー「ガーン、また勧誘失敗だぁ。」

ニラッチ「き、きさま、、、。」

ナスビー「?」

ニラッチ「俺のためにミヨ子を追い払ってくれたのか?」

ナスビー「え?ま、まあね!」

ナスビーは適当に返事を合わせた。

ニラッチ「感謝する。助かった。」

ナスビー「これくらいお安い御用!・・・と言いたいところだけど。」

ナスビーはニラッチに顔を近づけて言った。

ナスビー「きみ、見たことある・・・たしかオレと同じ学年で、成績優秀なニラポンくん?」

ニラッチはナスビーも知ってるほど、既に有名だった。

ニラッチ「フン!ニラッチだ。」

ナスビー「フン!って…。」

ナスビーは一呼吸おいてまた話した。

ナスビー「オレはナスビー!その、ニラッチくん、きみ、サークルは?まだ決めてないならこの発明サークルに入ってよ!」

ニラッチ「え…。」

ナスビー「お願いだよ〜!まだ部員がオレしかいないから、至急入部して欲しい!」

ニラッチ「・・・。」

助けてもらった手前、断れなかった。

まあ、サークルの人数稼ぎなら幽霊部員でも構わないだろう。

ニラッチはそう考え、返事をした。

ニラッチ「よかろう。」

ナスビー「よ、よかろう?ニラポンくんってなんか変わってるなぁ。」

ニラッチ「ニラッチだ。」

ナスビー「ごめん、ニラッチくん。」

ニラッチ「ニラッチでいい。」

ナスビー「ニラッチ!ありがとう!これでオレらは友達だね!よろしく!」

ニラッチ「よ、よろしく…。」

ナスビー「やったー!こんな顔のいい奴が入ったら発明サークルも(女の子で)賑わうぞー!」

ニラッチ「ナスビー・・・くん。」

ナスビー「ナスビーでいいよ!なに?」

ニラッチ「ナスビー。」

ナスビー「はい?」

ニラッチ「とりあえず服を着てくれ。」

ナスビー「あはは!忘れてたー!やっぱ全裸ってバレてたのか!発明は失敗だー!」

ニラッチ「クスッ・・・。」

ニラッチは急におかしくなって、笑った。

ナスビー「だははは!」

ニラッチ「はははは!」

そして発明サークルに2人の笑い声が響いた。

つづく