ちょっと前。
いや、もっと前。
いやいや、さらに、だいぶ前の話。
チュッチューセッセ工科大学。
国内有数の理工系名門大学。
優秀な学生たちが全国から集まっていた。

そんなすごい大学に、なんと
若き日のナスビー博士は
入学することになった!
それも・・・
父親のコネを使った
裏口入学により!ガチャコーン!
・・・以前少し触れたが
ナスビーの父は有名な冒険家であり考古学者でもあった。
ナスビーにとって、父親の名誉と財産は、当然にあるものだった。
彼は平然と大学に通い
裏口入学をした自分を恥じることなく、活き活きとしていた。
「やったー!ラッキー☆」
くらいの感覚である。
今にも人に言ってしまいそうなくらい
罪の意識は薄かった・・・。
一方で
同年、若き日のニラッチ博士も、同じ大学に、入学した。
ニラッチは大学側からのオファーを受け
学費は全額免除だった。
彼は子供の頃から機械を直したり、ロボットを作る才能が際立っていた。
いわゆる天才であった。
しかし、その性格は、見た目からも、ご想像の通り
プライドが高く、他人に厳しく、常に人を見下しており
決して人格者とは言えなかった。
ニラッチがこんな性格になってしまったのは
それなりに理由があった。
その理由は、ニラッチの小学校からの同級生であるみょうがの『ミヨ子』を通して
のちに、ナスビーへと語られることとなる。
さて、ナスビーとニラッチ、正反対に見えるこの2人の出会いは
これがはじまりだった。
・・・
大学1年目の春、キャンパスにて。
ニラッチ「ハアッ・・・ハアッ・・・!全く、しつこいなっ・・・!」
ミヨ子「ニラ様~~~~っ!待って下さ~~~~いっ!」

正門から続く、幅の広い一本道を走ってくるニラッチの姿があった。
その後ろをもの凄い勢いで追いかける、黄色い声の女性がミヨ子だ。
ミヨ子「きゃあ!!!」
ミヨ子はメインストリートで大々的に転んだ。
高さ9cmのハイヒールをくじいたのだ。
ニラッチ「チャンスだ・・・っ!」
ニラッチは4階建ての講義棟(授業をする教室が集まっている建物)に入り込み、慌てて階段を駆け上がった。
とりあえず、どこかに身を隠したいニラッチ。
授業中の教室もあった。
まずい、このままではミヨ子がすぐに追いつく・・・。
そう思ったとき、目先を見上げると『発明サークル』と書かれた表札プレートが廊下に突き出ていた。

ニラッチ「・・・っ。」
ニラッチは、ノックせずいきなり『発明サークル』のドアノブを握り押し入った。
ガチャドン!
そして慌てて扉を閉め、内側からカギをかける!
ナスビー「わっ!!!」
なんと、中にいたのは、全裸のナスビーだった。
ニラッチ「ギャーーー!!!」
ナスビー「なんだなんだーーーっ!今、実験中だったんだーーーっ!」

ニラッチ「実験中だとっ!!!???クソっ!変な部屋に入ってしまった!!!」
ナスビー「自分から入ってきて変な部屋とはなんだーっ!!!」
出会いが、これである。(笑)
はっ!と我に返り、ミヨ子のことを冷静に思い出すニラッチ。
ニラッチ「確かに勝手に入ったのは俺だ。すまないが、追われている!!!ここで少し隠れさせてくれ!」
ナスビー「追われてるって、誰に?!」
ニラッチ「知り合いの女子生徒だ。」
ナスビー「え?女の子?」
ニラッチ「事情は後で説明する!とにかく、しばらくここにいさせろ!」
ナスビー「なんか変な人が来ちゃったなあ・・・まあ、いいか、仲間が増えるのは楽しいことだ!」
ニラッチ「仲間?」
ミヨ子「ニラ様~~~~っ?どこですか~~~~っ???」
廊下でミヨ子の声がする。
ニラッチ「あの女だ。通り過ぎるまで、居留守をしてくれ。」
ナスビー「わかった。」
ミヨ子は、片っ端から怪しい部屋をノックしていた。
コンコン・・・
ニラッチ「・・・来るぞ、音を立てないでくれ。」
ナスビー「わかった。」
ナスビーは全裸のままじっとしていた。
ニラッチ「(・・・それにしても最悪の場所に来てしまった。こいつ裸で一体何をしていたんだ。)」
まあ、急に部屋に入ってしまった自分が悪い、そうモヤモヤするニラッチだった。
コンコン!
ミヨ子は発明サークルのドアをノックした。
ミヨ子「すみませーん!ニラ様~~~~!いらっしゃらないですのー???」
ニラッチ「・・・。」
ナスビー「かっ、かわいい声!」
ニラッチ「っ!(静かにしてろ〜〜っ!)」
ナスビー「女の子が来るなんて滅多にない!これは神様がくれたチャンスだー!」
ニラッチ「(は!?こいつ、どうした、意味がわからん!)」
ナスビーは(全裸のまま)ドアの方に寄っていった。
ナスビー「きみ!発明サークルに入りたいのかい?」
ドア越しに話す。
ミヨ子「え・・・。そういう訳では・・・。」
ナスビー「オレは今、発明の実験中で『服を着てなくても、服を着てるように見えるプロジェクター』を作ったんだ!本当に成功してるか、見てくれない???」
ニラッチ「(何を言ってるんだコイツは?)」
ミヨ子「キャ~~~~っ!!!むり~〜〜〜っ!!!」
ミヨ子はドン引きしてその場から猛ダッシュで逃げていった。
ナスビー「ガーン、また勧誘失敗だぁ。」
ニラッチ「き、きさま、、、。」
ナスビー「?」
ニラッチ「俺のためにミヨ子を追い払ってくれたのか?」
ナスビー「え?ま、まあね!」
ナスビーは適当に返事を合わせた。
ニラッチ「感謝する。助かった。」
ナスビー「これくらいお安い御用!・・・と言いたいところだけど。」
ナスビーはニラッチに顔を近づけて言った。
ナスビー「きみ、見たことある・・・たしかオレと同じ学年で、成績優秀なニラポンくん?」
ニラッチはナスビーも知ってるほど、既に有名だった。
ニラッチ「フン!ニラッチだ。」
ナスビー「フン!って…。」
ナスビーは一呼吸おいてまた話した。
ナスビー「オレはナスビー!その、ニラッチくん、きみ、サークルは?まだ決めてないならこの発明サークルに入ってよ!」
ニラッチ「え…。」
ナスビー「お願いだよ〜!まだ部員がオレしかいないから、至急入部して欲しい!」
ニラッチ「・・・。」
助けてもらった手前、断れなかった。
まあ、サークルの人数稼ぎなら幽霊部員でも構わないだろう。
ニラッチはそう考え、返事をした。
ニラッチ「よかろう。」
ナスビー「よ、よかろう?ニラポンくんってなんか変わってるなぁ。」
ニラッチ「ニラッチだ。」
ナスビー「ごめん、ニラッチくん。」
ニラッチ「ニラッチでいい。」
ナスビー「ニラッチ!ありがとう!これでオレらは友達だね!よろしく!」
ニラッチ「よ、よろしく…。」
ナスビー「やったー!こんな顔のいい奴が入ったら発明サークルも(女の子で)賑わうぞー!」
ニラッチ「ナスビー・・・くん。」
ナスビー「ナスビーでいいよ!なに?」
ニラッチ「ナスビー。」
ナスビー「はい?」
ニラッチ「とりあえず服を着てくれ。」
ナスビー「あはは!忘れてたー!やっぱ全裸ってバレてたのか!発明は失敗だー!」
ニラッチ「クスッ・・・。」
ニラッチは急におかしくなって、笑った。
ナスビー「だははは!」
ニラッチ「はははは!」
そして発明サークルに2人の笑い声が響いた。
つづく
