夏の終わり。
青い空の下、アオアオ湖のキャンプ場に、2台の車が到着しました。
クリビー「着いたーーーっ!」
真っ先に飛び出したのはクリビーでした。
クリビー「湖だ!」
モモビー「広いなー!」
モモビーも荷物を放り出しそうな勢いで走り出します。
ネギーン「待ってください!テントを組み立ててから遊びましょう!」
ネギーンが慌てて追いかけます。
今回のキャンプメンバーは、かなりにぎやかになりました。
クリビー、モモビー、ネギーン。
そして女の子組の、トマ子、マロン、長ネギ子。
そして付き添いの大人は、ナスビー博士、マルナス助手、そして――ナスミさん!
子供たちの頼みとあらば、「喜んで!」とあっさり引き受けてくれたナスミさん。
そして、ナスミさんが来るならば、「なんだ、仕方ないな!」とあっさり外に出て来たナスビー博士。
え?昨日まで、あんなに落ち込んでたのに?
元気が戻る時は、そんなもの。
ナスビー博士を責める人は誰もいませんでした。
ナスミ「いいところですね。」
ナスミは湖を見ながら微笑みました。
クリビー「でしょう!」
クリビーは胸を張っていいます。
クリビー「(博士を元気にするために、ぼくたちが選んだんだよ!)」
クリビーは少し小声でナスミさんに伝えました。
ナスミ「まあ!そうだったんですね。」
ナスミがナスビー博士を見る。
ナスミ「ナスビー博士、今日は楽しみましょうね。」
ナスビー「えっ!」
突然、話を振られたナスビー博士は、少しだけ固まりました。
ナスビー「も、もちろんです、ナスミさん!」
いつもの調子を取り戻そうと、ドヤ顔になった。
ナスビー「まあ、子どもに色んな経験をさせてやるのが、大人の役割だからな!」
マルナスが小声で言った。
マルナス「博士、さっきからニヤニヤしすぎデスヨ!」
ナスビー「うっ、うるさい!」
そんな大人たちを見て、クリビー・モモビー・ネギーンの三人は顔を見合わせました。
マロン「クリビーさん。」
クリビー「わっ!」
マロン「わたし、キャンプってはじめて。」
クリビー「マ、マロンちゃんも?ぼくもはじめてだよ!」
トマ子「あ~あ、トマオも来ればよかったのに。」
長ネギ子「トマ子~!他の男子の前でトマオの話は遠慮しなさいよ!」
トマ子「そうだけどぉー。」
モモビー「最初に言っておくけど、女子は女子で遊べよな。」
ネギーン「モモビー!そんなこと言わないで、せっかくですから、みんなで楽しみましょう!」
子供たちは子供たちで、男女でぎくしゃくしていました。
しかしながら、作戦は順調、というより、もう、ここまで来たら成功でした。
あとはキャンプを楽しむだけです。
その日の午前中。
全員で協力して、一通りテントを張り終えました。
そして、お昼ごはんまでの空き時間、子どもたちは湖のそばへ走っていきました。
クリビー「見て見てー!」
クリビーが取り出したのは、以前ナスビー博士が発明した『何にでも変身する、万能浮き輪』でした。
今回は子供たちの人数分の浮き輪が用意されていました。
クリビー「変身!」
クリビーが叫びます。
すると浮き輪が、ふわっと形を変えました。
クリビー「アヒル!」
クリビーの浮き輪は、大きなアヒルボートのような姿になりました。
モモビー「おれっちは恐竜!」
モモビーの浮き輪は、あっという間に大きなティラノサウルスの形へ。
ネギーン「僕は……カメですね!」
ネギーンは妙に乗り心地が良さそうなカメを選びました。
トマ子「すごーい!これかわいい~!」
トマ子は浮き輪をドーナツに変身させていました。
マロン「わあ・・・。」
マロンは可愛らしいピンクのティーカップ。
長ネギ子は、リボンのついたぐるぐるキャンディー。
モモビー「女子はスイーツみたいのばっかり!」
モモビーは苦笑いをしました。
長ネギ子「別にいいじゃん!」
モモビー「食べられないけどな!」
長ネギ子「見た目が大事なのー!」
子どもたちは大笑いしながら、湖の浅瀬で遊び始めました。
アヒル。
恐竜。
カメ。
ドーナツ。
ティーカップ。
キャンディー。
全部で六つの浮き輪が、水面をぷかぷかと漂っていました。

クリビー「こっちだよー!」
モモビー「待てー!」
ネギーン「恐竜が来ましたよー!」
トマ子「きゃー!」
湖は大騒ぎでした。
湖畔から見守るマルナス。
ところが――。
その少し離れた場所。
水面に、何かが浮かんでいました。
最初は小さな黒い点だったものが
ゆっくりと近づいてきて
水面から、長い首のようなものが伸びました。
そして――。
パシャ・・・。
水面が小さく揺れます。
それは、子どもたちの浮き輪よりずっと大きいものでした。
長い首。
丸みを帯びた頭。
そして、背中の一部が水面から少しだけ見えていました。
まるで――。
古い言い伝えにある、水の怪物。
いわゆる『ネッシー』のような生き物です。
クリビー「見てー!アヒルからイルカに変えたら速いよー!」
クリビーが叫びます。
モモビー「恐竜、ガオー!ドーナツ食べるぞ!」
トマ子「食べちゃダメ~!私も、ライオンに変身!」
モモビー「ギャー!!!ドーナツライオンだ!!!」
六個の浮き輪と子供たち。
七つ目の影には、誰も気づきません。
七つ目の影の、光る二つの目は、子供たちをじっと見つめていました。
まるで、自分も一緒に遊びたいな・・・と。
しかし、ゆっくりと湖の奥へ戻っていきました。
パシャ…。
そして、その姿は消えました。
マルナス「そろそろお昼ですよー!」
マルナスが岸から呼びました。
クリビー「はーい!」
子どもたちは一斉に戻ってきます。
湖には、シーンと静かになりました。
もう、七つ目の影は、どこにもなくなっていました。
キャンプは、その後も楽しく続きました。
夜は、みんなでバーベキューをしました。
その後、キャンプ場主催のナイトウォークのイベントで、キャンプ場の管理人に案内され、懐中電灯で森を散歩しました。
夜には全員で星を眺めました。
ナスビー博士も、いつの間にかすっかり元気を取り戻していました。
クリビー「(博士、笑ってる!)」
モモビー「(美人作戦成功だな!)」
ネギーン「(ナスビー博士って、わかりやすい人ですね。)」
そして、3泊4日のキャンプは、あっという間に最終日になりました。
つづく
