第53話 湖畔のキャンプ場#2

おはなし

研究所の前で、ナスビー博士が一人でブツブツ言っています。

博士の前には、たくさんのナスが置かれていました。

ナスには、4本の割りばしがついています。

まるで、お供え物のようです。

クリビーたちは、少し離れたところから博士を見ていました。

クリビー「博士、元気がないね。具合でも悪いのかな?」

モモビー「なんだ、あのヘンなお供え物は?しかも、それに話しかけてるぞ!」

すると、ネギーンが小さな声で言いました。

ネギーン「もしかして……悪霊に取りつかれているんでしょうか?」

クリビー「えーっ!?悪霊!?」

モモビーは青ざめて言いました。

モモビー「やめろよ、ネギーン!」

ネギーン「冗談ですよ!」

ネギーンは笑いました。

ネギーン「でも、この時期は、死んだ人が帰ってくる時期だと言われていますからね。」

クリビー「えっ……。」

ネギーン「あのお供え物は、死んだ人にあげるものですよね。」

どうやら、やさい星にも、お盆のような行事があるようです。

クリビーは博士を見ながら言いました。

クリビー「ちょっと、声かけづらいね……。」

モモビー「また今度、出直そうぜ!」

モモビーも言いました。

モモビー「おれっちまで悪霊に取りつかれたら嫌だからな!」

ネギーン「だから、悪霊は冗談ですって!」

ネギーンは苦笑いしました。

3人は研究所をあとにしました。

町へ戻ろうと歩いていると――

クリビー「あれ?」

前のほうに、マルナス助手とナスミさんがいました。

二人は立ち話をしています。

マルナス「……というワケで、ハカセったら、ずっと元気がないんデスヨ~」

ナスミ「まあ。それはお気の毒ですねぇ……。」

マルナス「海に行ってから、ずっとおかしいんデス。」

ナスミ「まあ。海で、何かを連れて帰ってきてしまったのでは?」

マルナス「ヒィィィ!」

マルナス助手は飛び上がりました。

マルナス「ナスミさん、怖いこと言わないでクダサーイ!」

ナスミ「ごめんなさいね。でも、そういう話はよく聞きますから」

モモビー「ひえ~!」

モモビーが叫びました。

モモビー「やっぱり、おっさんは海の悪霊に取りつかれたんだ!」

マルナス「あれ?」

マルナス助手が3人に気づきました。

マルナス「また君たち!こんなところで、どうしたんデスカ?」

クリビーたちも、二人のところへ行きました。

クリビー「博士、ずっと元気がないんだね。」

マルナス「そうなんデース。」

ネギーンが聞きました。

ネギーン「もし本当に霊の仕業だったら、お祓いをしたほうがいいんじゃないですか?」

マルナス「う~ん……。」

マルナス助手は考えました。

マルナス「それも、いいかもしれないデスガ……。」

ネギーン「ですが?」

マルナス「この辺りでお祓いをしてくれる人といえば、レンコンのハスーネさんしかいないんデスヨ」

クリビー「ハスーネさんって?」

クリビーが聞きました。

ネギーン「クリビー、知らないんですか?」

ネギーンが答えました。

ネギーン「インチキ占いで有名な、ハスーネさんですよ」

マルナス「ネギーンくん、よく知ってマスネ!」

マルナス助手はうなずきました。

マルナス「そうなんデス。しかも、ハスーネさんのお祓いは、一回100万ベジカもするんデスヨ……。」

クリビー「100万!?」

モモビーが叫びました。

モモビー「高けぇっ!」

マルナス「デショ?」

マルナス助手も困った顔をします。

マルナス「だから、お祓いは無理なんデス。」

すると、クリビーが言いました。

クリビー「ねえ!」

モモビー・ネギーン「?」

クリビー「ぼくたちで、博士を元気にしようよ!」

ネギーン「え?」

ネギーンが驚きました。

ネギーン「ボクたちで、ですか?」

モモビー「それ、面白そうだな!」

モモビーが笑いました。

モモビー「題して――」

モモビーは胸を張りました。

モモビー「『落ち込んだ人を元気にする作戦!』

クリビー「なんか、普通の名前だね……。」

クリビーが言いました。

ネギーン「確かに普通ですけど、いい作戦だと思います!」

ネギーンも笑いました。

すると――

ネギーンが、何かを思いついた顔をしました。

ネギーン「あっ!」

クリビー「どうしたの?」

クリビーが聞きます。

ネギーンは言いました。

ネギーン「クリビー、モモビー!」

クリビー・モモビー「うん?」

ネギーン「その作戦を、夏休みの宿題にしたらどうですか?」

クリビー「え?」

モモビー「夏休みの宿題?」

二人は顔を見合わせました。

クリビー「……宿題のネタに?」

クリビーが聞きました。

ネギーン「そうです!」

ネギーンはうなずきました。

ネギーン「『落ち込んだ人を元気にする方法』を、実際にやってみるんです。」

クリビー「そして、その結果をレポートにするんだね!」

ネギーン「そうです!」

クリビーは目を輝かせました。

クリビー「いいかも!」

でも、モモビーは少し心配そうです。

モモビー「おいおい!人の不幸を、宿題のネタにしていいのか?」

クリビー「最後に博士が元気になれば、いいんじゃない?」

クリビーが答えました。

ネギーン「そうですよ!」

ネギーンも言いました。

ネギーン「世の中には、落ち込んでいる人がたくさんいます。」

続けて言います。

ネギーン「だから、博士を元気にする方法がわかれば、ほかの人の役にも立つかもしれません!」

クリビー「なるほど!」

クリビーは納得しました。

クリビー「つまり!夏休みの宿題が全部なくなるくらいの、超大作が狙えるね!」

ネギーン「そうです!」

ネギーンが元気よく答えました。

モモビー「ネギーン、マジでセンスあるわ!」

モモビーも大喜びです。

モモビー「こうなったら、やろうぜ!クリビー!」

クリビー「うん!」

マルナス助手も笑いました。

マルナス「ハハハ!君たち3人は、いつも頼もしいデスネ!」

そして、子供たちの目を見て言いました。

マルナス「博士のこと、頼みマスヨ!」

いつもナスビー博士の文句を言っているマルナス助手。

でも、博士が元気がないと、やっぱり心配なのです。

クリビーが言いました。

クリビー「じゃあ、ぼくたち3人の共同制作だね!」

モモビーも言いました。

モモビー「ネギーンは、もう宿題終わってるのに付き合わせちゃって悪いな。」

ネギーン「全然いいですよ!」

ネギーンは笑いました。

ネギーン「ボク、学ぶことは大好きなので!」

モモビー「ネギーン、その性格、ほんとうらやましいわ……。」

モモビーはため息をつきました。

クリビー「じゃあ、さっそく始めよう!」

クリビーが言いました。

クリビー「まず、どうする?」

モモビー「うーん……。」

モモビーが考えます。

モモビー「博士、なんか話しかけづらいオーラ出してたよな?」

ネギーン「そうですね……。」

ネギーンも考え込みました。

ネギーン「まず、何から始めましょうか?」

3人は、黙ってしまいました。

宿題にすると決めたのに、いきなり困ってしまったのです。

すると、ナスミさんが言いました。

ナスミ「あの……。」

ナスミさんは子供たちに一歩近づきました。

ナスミ「お祓いではなく、まじめに考えるなら、心のお医者さんに相談するのはどうでしょう?」

クリビー「心のお医者さん?」

クリビーが聞きました。

ネギーン「精神科のお医者さんのことですよ。」

ネギーンが説明します。

ネギーン「精神科というのは、心の病気を治すところです。」

ナスミ「そうですわ。」

ナスミさんがうなずきました。

ナスミ「シロナス先生の弟さんに、ナス彦先生というお医者さんがいます。」

クリビー「ナス彦先生?」

ナスミ「はい。精神科のお医者さんです。」

モモビー「また新しいキャラだぜ!」

モモビーが目を輝かせました。

ネギーン「ナスミさん、ありがとうございます!」

ネギーンも喜びました。

クリビーは立ち上がります。

クリビー「じゃあ、今からナス彦先生のところへ行こう!」

モモビー・ネギーン「おおお!」

マルナスも驚きました。

マルナス「なんだか、本格的な作戦になってきましたネ!」

すると、マルナス助手はナスミさんに、こっそり耳打ちしました。

マルナス「ここは、子供たちに任せてみマショウ!」

ナスミ「わかりました。」

ナスミさんも小さな声で答えました。

ナスミ「わたくしたちも、できることがあればお手伝いしましょう。」

こうして――

クリビー、モモビー、ネギーンの、

『落ち込んだ人を元気にする作戦』

が始まったのでした。

つづく