研究所の前で、ナスビー博士が一人でブツブツ言っています。
博士の前には、たくさんのナスが置かれていました。
ナスには、4本の割りばしがついています。
まるで、お供え物のようです。

クリビーたちは、少し離れたところから博士を見ていました。
クリビー「博士、元気がないね。具合でも悪いのかな?」
モモビー「なんだ、あのヘンなお供え物は?しかも、それに話しかけてるぞ!」
すると、ネギーンが小さな声で言いました。
ネギーン「もしかして……悪霊に取りつかれているんでしょうか?」
クリビー「えーっ!?悪霊!?」
モモビーは青ざめて言いました。
モモビー「やめろよ、ネギーン!」
ネギーン「冗談ですよ!」
ネギーンは笑いました。
ネギーン「でも、この時期は、死んだ人が帰ってくる時期だと言われていますからね。」
クリビー「えっ……。」
ネギーン「あのお供え物は、死んだ人にあげるものですよね。」
どうやら、やさい星にも、お盆のような行事があるようです。
クリビーは博士を見ながら言いました。
クリビー「ちょっと、声かけづらいね……。」
モモビー「また今度、出直そうぜ!」
モモビーも言いました。
モモビー「おれっちまで悪霊に取りつかれたら嫌だからな!」
ネギーン「だから、悪霊は冗談ですって!」
ネギーンは苦笑いしました。
3人は研究所をあとにしました。
町へ戻ろうと歩いていると――
クリビー「あれ?」
前のほうに、マルナス助手とナスミさんがいました。
二人は立ち話をしています。
マルナス「……というワケで、ハカセったら、ずっと元気がないんデスヨ~」
ナスミ「まあ。それはお気の毒ですねぇ……。」
マルナス「海に行ってから、ずっとおかしいんデス。」
ナスミ「まあ。海で、何かを連れて帰ってきてしまったのでは?」
マルナス「ヒィィィ!」
マルナス助手は飛び上がりました。
マルナス「ナスミさん、怖いこと言わないでクダサーイ!」
ナスミ「ごめんなさいね。でも、そういう話はよく聞きますから」
モモビー「ひえ~!」
モモビーが叫びました。
モモビー「やっぱり、おっさんは海の悪霊に取りつかれたんだ!」
マルナス「あれ?」
マルナス助手が3人に気づきました。
マルナス「また君たち!こんなところで、どうしたんデスカ?」
クリビーたちも、二人のところへ行きました。
クリビー「博士、ずっと元気がないんだね。」
マルナス「そうなんデース。」
ネギーンが聞きました。
ネギーン「もし本当に霊の仕業だったら、お祓いをしたほうがいいんじゃないですか?」
マルナス「う~ん……。」
マルナス助手は考えました。
マルナス「それも、いいかもしれないデスガ……。」
ネギーン「ですが?」
マルナス「この辺りでお祓いをしてくれる人といえば、レンコンのハスーネさんしかいないんデスヨ」
クリビー「ハスーネさんって?」
クリビーが聞きました。
ネギーン「クリビー、知らないんですか?」
ネギーンが答えました。
ネギーン「インチキ占いで有名な、ハスーネさんですよ」
マルナス「ネギーンくん、よく知ってマスネ!」
マルナス助手はうなずきました。
マルナス「そうなんデス。しかも、ハスーネさんのお祓いは、一回100万ベジカもするんデスヨ……。」
クリビー「100万!?」
モモビーが叫びました。
モモビー「高けぇっ!」
マルナス「デショ?」
マルナス助手も困った顔をします。
マルナス「だから、お祓いは無理なんデス。」
すると、クリビーが言いました。
クリビー「ねえ!」
モモビー・ネギーン「?」
クリビー「ぼくたちで、博士を元気にしようよ!」
ネギーン「え?」
ネギーンが驚きました。
ネギーン「ボクたちで、ですか?」
モモビー「それ、面白そうだな!」
モモビーが笑いました。
モモビー「題して――」
モモビーは胸を張りました。
モモビー「『落ち込んだ人を元気にする作戦!』」
クリビー「なんか、普通の名前だね……。」
クリビーが言いました。
ネギーン「確かに普通ですけど、いい作戦だと思います!」
ネギーンも笑いました。
すると――
ネギーンが、何かを思いついた顔をしました。
ネギーン「あっ!」
クリビー「どうしたの?」
クリビーが聞きます。
ネギーンは言いました。
ネギーン「クリビー、モモビー!」
クリビー・モモビー「うん?」
ネギーン「その作戦を、夏休みの宿題にしたらどうですか?」
クリビー「え?」
モモビー「夏休みの宿題?」
二人は顔を見合わせました。
クリビー「……宿題のネタに?」
クリビーが聞きました。
ネギーン「そうです!」
ネギーンはうなずきました。
ネギーン「『落ち込んだ人を元気にする方法』を、実際にやってみるんです。」
クリビー「そして、その結果をレポートにするんだね!」
ネギーン「そうです!」
クリビーは目を輝かせました。
クリビー「いいかも!」
でも、モモビーは少し心配そうです。
モモビー「おいおい!人の不幸を、宿題のネタにしていいのか?」
クリビー「最後に博士が元気になれば、いいんじゃない?」
クリビーが答えました。
ネギーン「そうですよ!」
ネギーンも言いました。
ネギーン「世の中には、落ち込んでいる人がたくさんいます。」
続けて言います。
ネギーン「だから、博士を元気にする方法がわかれば、ほかの人の役にも立つかもしれません!」
クリビー「なるほど!」
クリビーは納得しました。
クリビー「つまり!夏休みの宿題が全部なくなるくらいの、超大作が狙えるね!」
ネギーン「そうです!」
ネギーンが元気よく答えました。
モモビー「ネギーン、マジでセンスあるわ!」
モモビーも大喜びです。
モモビー「こうなったら、やろうぜ!クリビー!」
クリビー「うん!」
マルナス助手も笑いました。
マルナス「ハハハ!君たち3人は、いつも頼もしいデスネ!」
そして、子供たちの目を見て言いました。
マルナス「博士のこと、頼みマスヨ!」
いつもナスビー博士の文句を言っているマルナス助手。
でも、博士が元気がないと、やっぱり心配なのです。
クリビーが言いました。
クリビー「じゃあ、ぼくたち3人の共同制作だね!」
モモビーも言いました。
モモビー「ネギーンは、もう宿題終わってるのに付き合わせちゃって悪いな。」
ネギーン「全然いいですよ!」
ネギーンは笑いました。
ネギーン「ボク、学ぶことは大好きなので!」
モモビー「ネギーン、その性格、ほんとうらやましいわ……。」
モモビーはため息をつきました。
クリビー「じゃあ、さっそく始めよう!」
クリビーが言いました。
クリビー「まず、どうする?」
モモビー「うーん……。」
モモビーが考えます。
モモビー「博士、なんか話しかけづらいオーラ出してたよな?」
ネギーン「そうですね……。」
ネギーンも考え込みました。
ネギーン「まず、何から始めましょうか?」
3人は、黙ってしまいました。
宿題にすると決めたのに、いきなり困ってしまったのです。
すると、ナスミさんが言いました。
ナスミ「あの……。」
ナスミさんは子供たちに一歩近づきました。
ナスミ「お祓いではなく、まじめに考えるなら、心のお医者さんに相談するのはどうでしょう?」
クリビー「心のお医者さん?」
クリビーが聞きました。
ネギーン「精神科のお医者さんのことですよ。」
ネギーンが説明します。
ネギーン「精神科というのは、心の病気を治すところです。」
ナスミ「そうですわ。」
ナスミさんがうなずきました。
ナスミ「シロナス先生の弟さんに、ナス彦先生というお医者さんがいます。」
クリビー「ナス彦先生?」
ナスミ「はい。精神科のお医者さんです。」
モモビー「また新しいキャラだぜ!」
モモビーが目を輝かせました。
ネギーン「ナスミさん、ありがとうございます!」
ネギーンも喜びました。
クリビーは立ち上がります。
クリビー「じゃあ、今からナス彦先生のところへ行こう!」
モモビー・ネギーン「おおお!」
マルナスも驚きました。
マルナス「なんだか、本格的な作戦になってきましたネ!」
すると、マルナス助手はナスミさんに、こっそり耳打ちしました。
マルナス「ここは、子供たちに任せてみマショウ!」
ナスミ「わかりました。」
ナスミさんも小さな声で答えました。
ナスミ「わたくしたちも、できることがあればお手伝いしましょう。」
こうして――
クリビー、モモビー、ネギーンの、
『落ち込んだ人を元気にする作戦』
が始まったのでした。
つづく
