話は前後します。
クリスマスの大事件より、以前のこと。
数カ月前、それは、夏が終わりに近づく頃のことでした。
クリビーは、夏休みの宿題に全く手をつけておらず「そろそろ始めないとヤバいかな・・・。」と思い始めていました。
宿題は「算数ドリル」「読書感想文」「理科の自由研究」の3つもありました。
しかし、クリビーたちの小学校には、一発逆転ルールがあり、この3つをやらなくても『本人が自信を持って提出する超大作』を持って来れば宿題が免除になるというのでした。
『超大作』とは、本当に何でもいいのです。
例えば、読書感想文なら、『超大作の』のすごい読書感想文を出せば、算数ドリルと理科の自由研究をやってこなくてもいいのです。
昨年、カブのカブーンくんは、『超大作の』数学の論文を提出し、先生たちを驚かせました。
その他、新タマネギのタマキちゃんとブルーベリーのべリ子は2人で共同で、自分たちのダンスの映像作品を提出し、夏休み期間ずっとダンスの練習に集中して作品を作ったことで評価されました。
つまり、やさい星では、生徒たち全員に『一応』は宿題を用意してくれるけど、それをやらなくても、自分の好きなこと・得意なこと・挑戦したいことに一点集中することも全然OK、『自分で自分の宿題を見つける』ことを促す教育が行われていたのです。
さて、クリビーは迷っていました。
用意された3つの宿題をやるか、今から『超大作』を考え実行するか・・・。
『超大作』は、何でもいいというなら簡単なようで、クリビーにとっては難しいことでした。
何でもいい、と言われると、かえって何をしたらいいか、わからなくなるものです。
クリビー「どうせモモビーも宿題やってないだろうし、こうなったらモモビーと協力して何とかしよう!」
今日も日差しが強く蒸し暑い日でした。
エアコンのきいた家にいたクリビーは、早速、ミンミンとセミの声がうるさい外へと飛び出してゆきました。
クリビー「おーい!モモビー!」
クリビーはモモビーの家に行き、外へ誘い出しました。
やはり、モモビーは宿題を全くやっていませんでしたし、そのことを一切、気にしていませんでした。
モモビー「おれっちと共同で『超大作』を!?」
クリビー「そうなんだ!3つの宿題をやるより、好きなことで一発逆転したいんだ!」
モモビー「そうは言ってもなあ・・・。」
モモビーは食いしん坊で、体力があり、いたずらっ子なだけあってみんなのムードメーカーです。
もし、クリビーがモモビーだったら『満腹!グルメレポート』と題して、夏休み中に食べたものを写真に撮って感想文を出したり、『野球のバッティングのコツ!動画で解説!』や『お笑いギャグ100連発文言集』などの超大作を作るのがいいだろうなと、考えていました。クリビーは、何かしら、モモビーの得意なことを活かして、それに乗っかろうとしていたのです。しかし・・・
モモビー「う~ん、宿題、とにかく、やりたくないなあ。」
モモビーはクリビーの予想以上にやる気がありませんでした。
もう『宿題』という言葉にアレルギーが出るくらい、嫌で、現実を避けているようでした。
それに、宿題をやってこないことに、何の罪悪感も感じないようでした。
クリビー「そっかあ・・・。(こりゃ、ますます、困ったな・・・。)」
クリビーは困ってしまいました。
一方のクリビーは、自分の得意なことが、何も思いつきませんでした。
クリビー「(僕は、友達と遊ぶことは好きだけど、1人で何か1つ極めることは苦手だし・・・。)」
これといって特徴のないクリビー。
何も思いつかない、個性のない自分に、だんだん自信が無くなっていました。
モモビー「おい!落ち込むなよクリビー。仕方ない!ここは、ネギーンに頼るか。あいつはもう、今頃、やることがなくて暇だろう!」
みなさんも予想通り、真面目なネギーンは既に、3つの宿題すべてを終えていました。
場面は変わり、ネギーン宅にて・・・。
ネギーン「超大作を、今からですか?そうですね・・・。」
やはり、持つべきものは友というものです。ネギーンは、宿題を先延ばしにしている怠け者のクリビーとモモビーに、何一つ嫌な顔をすることなく、親身になって宿題のネタを考えようとしてくれました。
ネギーン「モモビー、いつものモモビーだったら、こんなとき、すぐに必殺技を使うじゃないですか?」
モモビー「必殺技?」
ネギーン「ほら、クリビーもですよ!」
クリビー「なんだろう?」
ネギーン「僕たちにできないことは、大人に頼る!です!」
モモビー「ああ!おっさんに頼るってことか!」
クリビー「ははは!ナイスだね、ネギーン!」
はい、これもまた、いつもの流れです。
困ったときの『ナスビー博士』です。
しかし、クリビー、モモビー、ネギーンの3人は、海に行って以来、ナスビー博士を見かけていませんでした。
ネギーン「・・・博士、最近見かけないですけど、元気にしてるんですかね?」
クリビー「とりあえず、研究所に行ってみよう!」
3人は、ナスビー博士の研究所に向かいました。
すると、研究所の玄関の前に、しゃがみこんでいるナスビー博士の姿がありました。
博士は一人で、なにか、ぶつぶつと、つぶやいています。
ナスビ―博士「ヴィナスさん・・・さみしいです・・・。」
クリビー「えっ・・・。博士、一体どうしたんだろ!?」
つづく
