【第40話】クリスマスの大大大事件!#2

おはなし

その頃、クリビーはというと・・・

こちらも相変わらずです。

いつものように、モモビー、ネギーンと公園に集まり、遊んでいました。

クリビー「ねえねえ、ネギーンは、今年のクリスマス、どうやって過ごすの?」

ネギーン「僕は、クリスマスイブの日にパパとママの家に帰って、2人の妹たちと一緒に、クリスマスパーティーをする予定ですよ〜!」

クリビー「わぁ、いいなあ!僕も、クリスマスイブの日はパパとママのところに帰る予定だけど、夜ご飯を食べた後、クリスマスケーキを一緒に食べようって言ってるよ!」

クリビーはそう言うと、モモビーの方を振り返って続けてこういいました。

クリビー「モモビーは?」

モモビー「・・・」

クリビー「モモビー?」

クリビーは、モモビーが一瞬聞こえないフリをしたように感じました。しかし、モモビーと目が合うと・・・

モモビー「何がクリスマスだ!おれっちはそんなのどうでもいい派だな!」

クリビー「え!?」

モモビー「クリスマスなんて下らないさ!別に、チキンだって、ピザだって、ケーキだって、食べたかったら今日食べればいいじゃないか!パーティー?サンタのプレゼント?おれっちはそんな子供っぽいこと全然興味ないね!」

クリビー「そ、そうなのモモビー?」

クリビーはモモビーの言うことにビックリしました。クリスマスを楽しみにしていない子供がいると、初めて知りました。特に、サンタさんのプレゼントにまで興味がないなんて・・・。

このとき、ネギーンはモモビーの気持ちを察していました。

以前、モモビーは、両親ともに仕事が忙しいと言っていました。ですから、モモビーは、毎年パパとママと一緒にクリスマスを祝う習慣がなかったのではないでしょうか・・・。ネギーンは、想像しました・・・モモビーは毎年クリスマスを1人さみしく過ごしていたのではないか、と。

ネギーン「・・・あの、よかったらモモビーも、僕のウチのクリスマスパーティーに来ませんか?妹2人はまだ赤ちゃんですから、チキンもケーキもあまり食べられないですし、料理が余ってしまいそうで困ってたんですよ!どうですか?たくさん食べるモモビーが来てくれたら、僕のママも喜んでくれると思います!」

ネギーンはモモビーに気を遣ってそう言いました。

モモビー「えー、いいよ、おれっちはクリスマスが嫌いなんだ!ネギーンはネギーンの家族とだけで過ごした方がいいよ。」

ネギーン「モモビー・・・。」

ネギーンはモモビーの気持ちがよくわかりました。モモビーはチキンやケーキを食べれないことや、サンタさんからプレゼントがもらえないことよりも、パパとママと一緒に過ごせないことが、さみしいのだと思いました。それに、自分以外の子供たちも揃ってクリスマスを祝いに帰ってしまっているし・・・。クリスマスに限っては、他に遊べる友達がいないのです。

こんなとき、モモビーにどうやって声をかけたらいいんだろう、、、ネギーンがそう考えた瞬間、クリビーが口を開きました。

クリビー「モモビーは大人だな〜!みんなと違う考え方、かっこいい!!!」

モモビー「え!?」

クリビー「僕もクリスマス嫌いになろうかな!!!」

モモビー「え、ええ!?」

モモビーも、ネギーンも、クリビーの発言にビックリしました。

クリビー「よーし!決めた!!!僕、今年のクリスマスは『みんなと違ったクリスマス』にしよう!」

モモビー「み、みんなと違ったクリスマスって何だ!?」

クリビー「みんながチキンとケーキを食べて、クリスマスのお祝いをするなら、それ以外のことをするんだ!」

モモビー「そ、それ以外のことって・・・?単純に、クリスマスがなかったかのように、普通に過ごすってことか?」

クリビー「う〜ん・・・。それじゃつまらないから、せっかくだし、特別な思い出になることをしようかな!」

ネギーン「特別な思い出の、みんなと違うクリスマス、ですか!なんか面白そうですね!」

最初は『何を言ってるんだ?』と思ったモモビーとネギーンでしたが、楽しそうに話すクリビーの様子を見ていて、2人とも釣られてしまいました。

クリビー「まだクリスマスまで日にちがあるし、パパとママに言ってケーキは無しにしてもらおっと!あと、サンタさんのプレゼントも、いらないって、言っといてもらおうかな。ネギーンはどうする?」

ネギーン「え・・・。なんか、せっかくパーティの準備をしてくれてるママが悲しみそうですけど・・・。それに、サンタさんのプレゼントも・・・今更いらないって伝えてもらって間に合うんでしょうか・・・。ちょっと、家族に相談してみますね。」

ネギーンは少し戸惑っているようでしたが、あまりにもあっさりとしたクリビーの態度に流されてしまいました。

そんなこんなで、クリビーたち3人は『みんなと違うクリスマス』の計画をすることにしました。

・・・

そして次の日の放課後、クリビーたち3人はまた待ち合わせをしていました。

今日はナスビー博士の研究所の前で待ち合わせをすることにしていました。

クリビーは一番乗りでナスビー博士の研究所の前に着いてしまいました。

クリビー「モモビーとネギーンまだかなぁ・・・。」

クリビーがモモビーとネギーンの2人を待っていると、ガチャッ・・・と、研究所の入り口のドアが開く音がしました。

クリビー「(あ、ナスビー博士だ・・・!)」

ドアから出てきたナスビー博士は、クリビーがいることに気がついていませんでした。

ナスビー博士は、外にある郵便受けを確認しに出てきたようです。

郵便受けから郵便物を取り出し、その場で確認するナスビー博士・・・

ナスビー「ふぅ、12月はクリスマスのチキンと宅配ピザのチラシばっかりだなぁ・・・!あれ?これは、私あての手紙かな・・・?」

郵便物は広告のチラシばかりでしたが、その中に1通だけ、濃い緑色の封筒が入っていました。封筒はしっかりと封蝋※(ふうろう)がされていました。(※封蝋・・・ロウソクを溶かしてのりみたいにして封を止めることだよ。)

宛名(あてな)のところには『DEAR ナスビー博士』と書かれていました。『DEAR』(ディア~)とは『親愛なる、大切な』という意味です。

ナスビー「緑色の封筒なんて珍しいな!一体、誰からだろう?」

ナスビー博士は封筒の表裏を何度かひっくり返して見てみましたが、手紙の送り主の名前は書いてありませんでした。しかし、封蝋の下に『必ず、ナスビー博士ご本人が開けて下さい。』と書かれていることに気づきました。

ナスビー「おお、これは何か重要な手紙に違いない・・・!」

普段あまり手紙をもらうことのないナスビー博士は、自分あての特別な手紙が来たということでテンションが上がりました。そしてすぐに封筒を開封すると・・・

手紙の内容はこのようなものでした・・・

『大好きな ナスビー博士へ♡

お元気でお過ごしですか?突然、お手紙でご連絡してしまい、ビックリさせてごめんなさい♡

実は、知人から、今年のクリスマスイブの日の、スキースキー山のスキー場の、ペアの宿泊チケットを譲ってもらったのですが、あいにく、わたくし、一緒に行ける方がいなくて、困っております。

そこで、とても急ですが、ナスビー博士、ワタクシと一緒に行っていただけないでしょうか?

それと、一つお願いがありまして・・・

ワタクシの職場には、仲の良い友人が2人いるのですが、2人ともスキーが大好きです。

しかし、チケットは2名分しかないので、3人では行けず・・・そこで、友人2人には秘密で、行きたいと思っています。

なので、この旅行のことは、秘密にしていただけないでしょうか?

もし、来ていただけるようでしたら、クリスマスイブの当日、シルバー鉄道のグリーンサラダ駅のホームで待ち合わせをしましょう。

では、当日、駅のホームで待っています♡

念のため、もう一度言いますが、友人2人にこのことは秘密にしたいので、ウワサが広まらないよう『この旅行のことは、ワタクシとナスビー博士の、2人だけの秘密、で、お願いします♡』『誰にも言わないでね♡』

ナスミより』

・・・

この手紙を読んだナスビー博士は、嬉し過ぎて大興奮!今にも喜びの声を叫びそうになりました。

ナスビー「(まさか!!!ナスミさんから旅行のお誘い!?しかも、いきなり、泊まりで?!泊まりで?!夢じゃないか!!!夢じゃないか!!!)」

ナスビー博士は心の中でそのように思いました。

その様子を少し遠くから見ていたクリビー・・・。手紙の内容は見えませんでしたが、手紙を読みながら、1人でニヤニヤ、フニャフニャしているナスビー博士を見て気持ちが悪くなりました。

クリビー「・・・博士、一体どんな手紙が届いたんだろう?」

クリビーがナスビー博士の様子に気を取られていると、ようやくモモビーとネギーンがその場に到着しました。

ネギーン「お待たせしました!」

モモビー「よっ!早かったな、クリビー!」

クリビー「あ!2人とも、ちょうどよかった!今、ナスビー博士が外に出てきたところだから・・・」

実はクリビーたち3人は、ナスビー博士に相談があり、ここで待ち合わせをしていました。

その相談内容とは、やはり『クリスマス』のことでした。

クリビー「ナスビー博士なら『みんなと違ったクリスマス』をどう過ごしたらいいか、いいアドバイスをくれると思って!」

ネギーン「そうですね!あれだけ変人なら、クリスマスの日をみんなと同じように過ごしてるとは思えないですし。」

モモビー「あ、あのさ、今更だけど、クリビー、本当にいいのかよ?おれっちに合わせて、無理して、クリスマスを祝うのやめてない?」

クリビー「そんなことないよ!逆に、今までとは違って、新しいことを考えるのって、楽しそうじゃない!?」

モモビー「ほんとか!?ちなみに、ネギーンは?パパとママはどうだって・・・?」

ネギーン「昨日、あの後、パパとママに連絡したんですけど、ネギちゃんがそう言うならネギちゃんの好きにしていいよって言われました!ですから、クリスマスイブもクリスマス当日も、僕はパーティーに参加しないで、自由に過ごせることになりました!サンタさんにも、プレゼントは妹たちの分だけでいいよって伝えてもらえることになったんです。ちょっと勿体ない気もしましたが・・・クリスマスを僕たち3人、子供だけで過ごせると思うと、なんだか、楽しみになってきました!」

モモビー「2人とも・・・なんか、ごめん。」

クリビー「嫌だなあ!なんで謝るの!?今年は3人で最高の『みんなと違ったクリスマス』にしよう!」

こうして、クリビーたち3人は『みんなと違ったクリスマス』に向けて改めて心が一つになりました。クリビー、モモビー、ネギーンの3人はお互いに目を合わせて、キャッキャ、キャッキャと、笑い合いました。

ナスビー「『みんなと違ったクリスマス』だぁ!?」

クリビーたちの笑い声が聞こえ、ようやくナスビー博士もクリビーたちの存在に気づき、声をかけてきました。

クリビー「ナスビー博士!ちょうどよかった!実は、相談したいことがあって!」

クリビーたち3人は、ナスビー博士のもとに駆け寄ってゆきました。

つづく