クリビー「早く~!行こう、ネギーン!」
ネギーン「行くって、どこへですか?」
ネギーンを迎えに来たクリビーとモモビー。クリビーはネギーンの手を引いてせかしました。
モモビー「ネギーンって、季節の遊びが好きだろ?」
ネギーン「季節の遊び?ですか???」
モモビー「ほら、この前『オハナミ』したじゃんか!」
ネギーン「ああ、『お花見』ですね!お花見、好きですよ!」
クリビー「さっき、ここに来るまで、モモビーと話してて、今度は『コーヨー』しに行こうって話になったんだ!」
ネギーン「『コーヨー』?『紅葉(こうよう)』のことですよね?正しくは『紅葉を見に行く』もしくは『紅葉狩り』とも言います。」
モモビー「それそれ!早く、『コーヨー』しようぜ!」
ネギーン「フフフ、わかりました!行きましょう!」
クリビーとモモビーの『コーヨー』する?という言い方が可笑しくて、ネギーンは思わず笑ってしまいました。
こうして、クリビー・モモビー・ネギーンの3人はすぐ横にあるヨコヨコ山に『紅葉』を見に行くことにしました。
ナスビー博士とマルナス助手に見送られ、クリビーたち3人は研究所を出発しました。
・・・
『紅葉』とは、秋になって、日が短くなって、空気が冷たくなって、緑色だった葉っぱが、黄色や赤色になることです。
森や山のように木がたくさんあるところは、その森や山全体が一斉に『紅葉』に変わり始めるので、とても美しい風景になります。
この『紅葉』を鑑賞することは、秋にしかできない季節の行楽です。
ネギーンはこのような季節における自然の変化や歴史的に残っている行事を楽しむことが好きでした。
ネギーンは、クリビーとモモビーが自分の好きなことを覚えていてくれて、とても嬉しく思いました。
・・・
クリビーたち3人はすぐにヨコヨコ山に到着しました。
ネギーン「わー!山の方はもうこんなに『紅葉』が進んでいるんですね!」
こんな近くに美しい自然が見られる場所があって、ネギーンはとても感激していました。

クリビー「きれいだね~!」
モモビー「すげー!」
ネギーン「あの、クリビー、モモビーはどうして『紅葉』を見たいと思ったんですか?」
モモビー「んー、なんか最近、野球の練習ばっかで疲れたし、おにごっこも昼寝も飽きたし。それに、ネギーンは何で遊びたいかあまり意見を言わないから『おれっちたちが新しい遊びを考えてあげないと!』って思って!」
ネギーン「ええ!?そうだったんですか!?」
モモビーは思いもよらないことを言って、ネギーンは驚きました。
ネギーンからしてみると、2人に譲っているつもりだったのですが。
クリビー「そうそう、たまにはネギーンの気持ちになって考えて、お花見のことを思い出して、季節の遊びはどうかな~?って思ったんだ。そしたら、秋と言えば~・・・?」
モモビー「『コーヨー』するしかないぜ☆!!!」
クリビー「って、なったんだ。」
クリビー、モモビー、ネギーンの3人はヨコヨコ山の中を歩きながら大笑いをしました。
3人は楽しそうに歩いていると、足元に、たくさんの落ち葉が広がっていることに気がつきました。
クリビー「ねえ!落ち葉を集めて布団にしようよ!」
ネギーン「いいですね!」
モモビー「おう!やろうやろう!」
クリビーたち3人は手分けして周囲の落ち葉を両手でかき集め、落ち葉の山を作りました。
そして、3人は川の字に寝ころび、お互い近寄って、落ち葉の中にうずもれてみました。

クリビー「・・・思ったより、温かくないね。」
モモビー「はははっ!たしかに!この布団じゃ寒くて寝れないや!」
ネギーン「でも、僕、落ち葉の布団って夢でしたから、なんか楽しいです!」
クリビー「秋って感じだね!」
モモビー「今、おれっちたちが一番秋らしいことしてるかも!?」
ネギーン「そうですね!」
3人はキャッキャッと楽しそうに落ち葉の布団の中で会話をしていました。
ところが・・・
(ガサガサッ・・・ピトッ・・・)
そんな音が、聞こえたような、聞こえなかったような・・・

クリビー「なんか、頭に落ちてきた・・・」
モモビー「!?」
ネギーン「はっ・・・!!」
なんと、落ち葉の中にいた大きな黒いクモが、クリビーのおでこのところに、ピトッとくっついていました!
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
3人は悲鳴を上げて落ち葉の布団から飛び出しました。
そして、ヨコヨコ山から下りるまで、3人とも全力で走って逃げました。

そんなことがあって、3人はもう二度と落ち葉の布団に入らないことを心に誓いました・・・。
・・・
こうして、ネギーンにとって色々あった長い一日が終わりました。
ネギーンは2人と別れ、家に帰ってから、寝る前に、1人になってから頭の中で独り言を言いました。
(クリビーとモモビーのこと、しばらく悩んでいましたが、今日はクモの事件があって、一緒に走って逃げて、そのあと大笑いして、やっぱり3人でいると楽しいなって、改めて思い直しました・・・。)
(僕のパパとママは、この先の未来にもっと『自分に合った友達』が現れると言ってくれましたけど・・・。)
(大人が言うのですから、その考えもあるかもしれないですけど・・・。)
(僕は、まだ出会っていない『自分に合った友達』よりも、今、目の前にいる『ただ普通の友達』を大切にしようと思いました。)
(友達といると、嫌なこともありますし、思い通りにならないこともあります。でも、楽しかったり、嬉しかったりすることも多いです。)
(僕はまだ子供だから、どんな大人になるか、わからないです。でも、友達との縁があった方が、僕は素敵な大人になれると思いました・・・。)
・・・
これで、『自分に合った友達』のおはなしはおしまいです。
友達は、多ければ多い方がいいものではありません。
だって、友達の数が3人のAさんと、友達の数が100人のBさんがいたら、Bさんの方が偉いか、幸せかって言ったら、そんなことはないから。
でも、友達が1人もいないのは、少し寂しいよね。
だからって、無理してまで、傷ついてまで、その1人の友達と、ずっと友達でいる必要もないよね。
そもそも、友達って何なんだろう?
友達は『数』じゃなくて『仲の良さ』?
じゃあ、仲の良さって何・・・?
・・・
友達と仲がいいとか、悪いとか、それは、会ったばかりで、決まるものじゃないよね。
君の人生の中で、君の隣で、君の少し離れたところで、君と同じく人生という道を走っている・・・そんな友達。
君は自分の人生を走るのに夢中だ。それは友達も同じ。君はその友達をときどき、横目でチラチラと見ることができるけど、友達のことを理解するって、君も走りながらだから、とても大変。
長い年月をかけて、少しずつ、なんとなく理解していく、友達のこと。
そんなものじゃないかな?
じゃあ、友達とは、長い時間一緒に過ごした方がいいの?長ければ長いほど、いい訳?
それも違うよね。
会わない時間の付き合い方も含めて、それも友達。
離れていても、連絡をしていなくても、友達といえる存在もあるよ。
これは作者なりの考えです。
だから、こういう考えもあるんだ~。って思ってるくらいにしてね。
結局、友達って何?
友達とは・・・
心の中でその人との縁に感謝ができれば、それは友達なのかもしれません。
友達のことで悩んだことのある、すべての人へ。
おしまい
・・・
ちょっと待った!!!
そういえばさ、あの怪しいニラ男はどうなったんだろう?
気になるよね?!
・・・
フフフ、ナスビー博士とニラッチの友情?の問題は、次回以降のおはなしに続いていくよ!
お楽しみに!
おしまい


