【第46話】クリスマスの大大大事件!#8

おはなし

クリビー、モモビー、ネギーンの3人は、ロッジの外窓から中の様子をのぞきました。

ロッジの中は、テーブルもベッドも家具もなく、部屋の奥の方に暖炉があるくらいでした。

耳をすませると、ナスビー博士たちの会話がかすかに聞こえます・・・。

ナスビー博士「わあ・・・、思ったよりシンプルなお部屋ですね。」

ナスミ(?)「フフフ、気に入っていただけたかしら?」

ナスビー「はい♪奥には暖炉もあるんですね~!」

ナスミ(?)「そうなの。でも、この炎はね、触っても熱くない、ワタクシが作った見せかけの炎なのよ・・・。」

ナスビー「え?熱くない?・・・本当だ!」

ナスビー博士は暖炉の中の燃え盛る炎に近づいて手をかざしましたが、ナスミさん(?)の言う通り、全く熱くありませんでした。

ナスビー「・・・これを作った?って、おっしゃいましたよね?見せかけの炎?どういうことですか?」

ナスミ(?)「フフフ・・・えんとつから煙が出ていたら、この場所が目立ってしまうかと思ってね・・・。ホログラムで炎のゆらめきを再現してみましたの。ワタクシ、こういうことに、つい、凝ってしまいましてね。これは完全にワタクシの趣味ですけども・・・。」

ナスビー「ホログラムで再現?ナスミさんが・・・?」

ナスミ(?)「ナスビー博士、あなたには絶対マネできない技術よ♡」

なんだかこのナスミさん(?)は先程からちょいちょいと発明家のようなことを言っているのが不思議に思ったナスビー博士でしたが、彼女の冗談だと思い、聞き流すことにしました・・・。

ナスビー「あの〜、そんなことより、先に食事の準備をしてくれてると伺ってたのですが、この部屋、テーブルも、キッチンも、見当たらないですな・・・。」

そうです、ナスビー博士はナスミさんの手料理を楽しみにしていましたが、確かに、この部屋にはテーブルも、キッチンも、何もありません・・・。

ナスミ(?)「・・・」

黙っているナスミさん・・・。

ナスビー「ナスミさん?」

ナスミ(?)「フフフ・・・先に食事の準備していたというのは嘘なの。」

ナスビー「へ?」

ロッジの中の空気が一瞬、凍り付いたように止まりました・・・。

ナスビー「う、嘘って、ナ、ナスミさん・・・?」

ナスミ(?)「フフフフ・・・、あははははっ!」

ナスビー「???」

ナスミ(?)「こんなに上手くいくとは思わなかったぞ、このドマヌケが!!!」

ナスビー「え!?え!?え!?」

ナスミさん(?)は突然、狂ったように笑い出し、帽子とマスク、ぐるぐると巻いていたマフラーを外しました。そして、大胆に、着ていた服までもその場に脱ぎ捨てたのです!

ナスビー「わっ、わーっ!!!・・・ナスミさんっ!!!???」

その本当の姿は・・・

???「久しぶりだな!ナスビー!」

ナスビー「な、なんということだーっ!」

ニラッチ「私だ。天才マッドサイエンティスト、ニラッチ博士だー!」

ナスビー「二、ニラッチ!」

驚くべきことに、ここまでの話でみんながナスミさん(?)だと信じていた人はニラッチ博士の変装だったのでした!

ナスビー「・・・夢じゃないか!本当に、また会えるなんて!」

ニラッチ「は!?」

ナスビー「確か13年前・・・あれは大学の卒業式の前日・・・おまえは突然失踪してしまった・・・。それから、ずっと私は、とても心配してたんだ・・・。ニラッチ!会えて嬉しい!親友と再会できるなんて、最高のクリスマスプレゼントだ!」

今まで目の前にいたナスミさんが変装だと知ったにも関わらず、ナスビー博士の反応は意外なものでした・・・。唯一の大親友であるニラッチとの再会に、喜びの感情が溢れたのです。

ニラッチ「会えて嬉しいだと!?薄情者が、気安く言うな!!!おまえが親友?とぼけるのもいい加減にしろっ!おもえは私の友達でも何でもない!」

ナスビー「せっかく会えたのに、なんてこと言うんだニラッチ~ぃッ!」

ニラッチ「相変わらず能天気なやつだ・・・。さて、ここにお前を連れて来た理由、それがわかるか?」

ナスビー「もちろん!親友同士2人でクリスマスパーティをするつもりだろ!?いや~、ナスミさんに変装までして、もっと普通に誘ってくれればよかったのに~。」

話の流れからして何かを企んでいるに違いないニラッチ博士に対して、ナスビー博士は何の疑いもなく、再会のお祝いでもしてくれるものだと信じている様子です・・・。

ニラッチ「・・・物分かりが悪いところも変わっていないな。まあいい、バカにもわかるようにしっかり説明してやろう。」

ナスビー「???」

ニラッチ博士は片方の足のかかとで床板をコンッ!と叩きました。すると1枚の床板が跳ね上がり、その下にはスイッチのようなものが仕込まれているのが見えました。

続けてニラッチ博士は、そのスイッチを足でムギュッと踏みました。

『うぃーうーうぃーうー!下に参ります♪』

ガガガガガガガガッ!!!!!!

ナスビー「うわぁっ!!!」

警報音と機械音声がしたあと、大きな振動と共に、ナスビー博士とニラッチ博士の立っている床がスッポリとくり抜かれ、地下へと移動してゆきました!

このロッジの床はカラクリ仕掛けになっていたのです!

クリビー「大変だっ!!!」

その様子と会話をすべて目撃したクリビーたち3人!色々なことが起こりすぎていて仰天です!

モモビー「おっさんは、おっさんの友達に騙されて、ここに連れて来られたってこと!!!???」

ネギーン「そのようですね!!!僕、あのニラッチ博士って人、この前、イコイコ公園で見たような気がします・・・。」

クリビー「そうなの!?ネギーン!」

ネギーン「ええ!あの細身で暗い感じのニラの人、多分そうだったと思います・・・。」

ネギーンは続けて、その後、マルナス助手から聞いた、ニラッチ博士はかつてナスビー博士の友達であったこと、失踪して13年も経つこと、などをクリビーとモモビーにも説明しました。

モモビー「おっさん同士、そんなことがあったのか・・・。」

クリビー「でも、今になってなんでニラッチ博士はナスビー博士を呼び出したんだろう?ナスミさんにまで変装して、こんな山奥の人目が無い場所へ・・・?」

ネギーン「もしかして、ニラッチ博士はナスビー博士のことをずっと恨んでいて、ついに今日、●そうとしてるとか!?」

クリビー「ええええーーーー!!!???」

モモビー「まじかよ!?おれっちたち、とんでもないところを目撃しちゃったぜ!!!ど、どうしよ~~~!!!」

ナスビー博士とニラッチ博士はロッジの床より下の地下の方へ消え去って見えなくなってしまいました・・・。しばらくすると、スッポリと沈んでいった床の一部は、往復してまた元の位置に戻ってきました・・・。

ニラッチ博士の意図がわからないクリビーたちは大混乱です。

・・・

一方、ニラッチ博士の罠により、ロッジの地下の隠し部屋に連れていかれてしまったナスビー博士。

地下の隠し部屋は、ロッジの部屋と同じくらい広さで、薄暗く、ロッジの木でできた暖かみのある雰囲気とは全く異なり、コンクリート打ちっ放しの、無機質で冷たい空間となっていました。

ナスビー「ニラッチ、これは一体、どういう冗談なんだ??」

不気味な部屋に招待されたナスビー博士は、少しだけ身の不安を感じ始めたようです。

ニラッチ「・・・まあ平和ボケしてるお前には見当もつかないだろうな。いいか、私は目的を果たすためだけにお前をここに連れて来た。本来、お前になど、二度と会いたくもなかったがな。」

ナスビー「そんなこと言うなよ~。なあに、この天才発明家、ナスビー博士に頼みがあるなら素直にそう言えばいいのに!」

ニラッチ「フフフ・・・、そうさ、お前に頼みがあるといえば、その通りだな。無駄話はもういい、早速仕事にに取りかかってもらおうか・・・。」

ナスビー「仕事・・・?」

ニラッチ博士「そうさ・・・。せいぜいお前は私の道具としてしっかり働くことだな。」

ナスビー「なんだその言い方は!・・・はて、私に頼みたい仕事???そりゃ一体、何だ???」

首をかしげるナスビー博士・・・その様子を見て、ニヤリと何か企む横顔を見せるニラッチ博士。彼は横目でナスビー博士の表情を覗きながら、部屋の中央に置いてある、大きな布で覆い隠された物体の方に近づいてゆきました。

ナスビー「・・・これは何だ?」

ニラッチ「・・・。」

ニラッチ博士は大きな布を片手でサッと引き、その隠されていた物体の正体をナスビー博士に見せました。

ナスビー「・・・これは、プロジェクター???」

ニラッチ「・・・。」

そこには、映像を壁に映すための装置、1台のプロジェクターが置いてありました。

ニラッチ「これを見ろ。」

ニラッチ博士はプロジェクターの電源を入れます。すると、ナスビー博士から見て左側の壁面に、なにやら、パッと見て普通に読むことのできない、不思議なカタチの文字で書かれた文章が映し出されました。

ナスビー「こ、これは・・・!?」

ナスビー博士はこの不思議なカタチをした文字を見て、すぐに自分の心臓がドキドキし始めたことに気がつきました・・・。そうです、ナスビー博士はこの不思議なカタチの文字の正体が何なのか、よく知っていたからです・・・。

ニラッチ「これが何だかわかるな?」

ナスビー「・・・な、なんだろうな?」

ナスビー博士はなんだか嫌な予感がして、とっさに誤魔化そうとしました。

ニラッチ博士はナスビー博士の返事を無視して、ニヤリとし話を続けます。

ニラッチ「この文書は、とある遺跡で発見された、古代人が残した研究日誌の一部だ。しかしな、このように『古代文字』で書かれているがために、何を意味しているのやら、さっぱりでな・・・。」

ナスビー「そ、そうなのか・・・。」

ナスビー博士は引き続き、何もわからないフリを続けました。そうです、ニラッチ博士が言うように、この不思議なカタチの文字は『古代文字』だということに、ナスビー博士は気づいていました。

ニラッチ「だがな、これまでに、たった一人だけ、この古代文字を解読することに成功した人物がいた。それが、お前の父親である、冒険家であり、考古学者でもあった『ダドナス氏』だ。・・・そうだろう?」

ナスビー「・・・。」

ナスビー博士は黙ったままニラッチ博士の話を聞いていました。

つづく