スキースキー駅の改札口を出ると、辺り一面真っ白の雪の世界が広がっていました。
駅から続く道は1本道で、道の先の遠くの方には赤茶色のレンガ造りの洒落た建物が見えました。
おそらくその建物がスキー場に併設されている宿泊施設なのでしょう。
クリビー「それにしても、本当にカップルばっかりだね!」
道を歩く人々は、クリビーたち3人とだいぶ先へ進んでしまっているナスビー博士以外、恋人同士ばかりでした。
ネギーン「はぁ・・・ナスビー博士にあんな嘘をついて、お金まで出させて、なんという悪いことをしちゃったんでしょう・・・。」
気真面目なネギーンは後悔の気持ちでぐずぐずしていました。
このときクリビーは、モモビーがやったことだし、自分だけの責任じゃないからいいやと思っていました。それに、怒られるときも、モモビーとネギーンが一緒なら怖くないや、と思っていました。
モモビーは悪いことをしたという気持ちが全くありませんでした。
三者三様・・・3人とも、考えることが全く違うんだね。
クリビー「ネギーン、やっちゃったことはもう仕方ないよ!それより、ナスビー博士を見失わないようにしないと!」
モモビー「そうだぜ!せっかくだから、大追跡を楽しもうぜ!」
ネギーン「・・・はぁ、こんなことして平気でいられる2人が羨ましいですぅ。」
気づくとナスビー博士はもうレンガ造りの建物の入り口のところに差し掛かっていました。
クリビー「あの建物の中に入ったよ!」
ネギーン「あそこが宿泊施設のようですね。急ぎましょう!」
モモビー「お?なんだかんだネギーンも続ける気満々じゃんか!」
建物の中に入ったナスビー博士は1階のロビー全体をぐるっと見渡しました。
正面には大きなクリスマスツリーが飾ってあり、奥が宿泊の受付カウンターとなっていました。
先程、謎のデンショバットが届けてくれた手紙によると、ナスミさんはここのロビーで待っているとのことですが・・・
???「ナスビー博士・・・。」
ナスビー「わっ!え!?ナ、ナスミさん!?」
なんと、ナスビー博士の真横にナスミさん(?)らしき人が立っていました。
そのナスミさん(?)は、暖かそうなニット帽に、ぐるぐる巻きのマフラー、さらにマスクをしていて、ほとんど顔が見えない状態です。
ところが、その人はナスビー博士に声をかけると、突然、咳き込んでしまいました。
ナスミ(?)「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ・・・。」
ナスビー「だ、大丈夫ですか!?もしかして、風邪を引かれてるんですか?」
ナスミ(?)「そ、そうなの。ごめんなさいね。」
ナスミさん(?)の声はとても枯れていて、本人とは思えないような低い声でした。
ナスビー「あらら、それは大変ですね・・・!無理なさらなくてよかったのに!」
ナスミ(?)「ゴホッ、ゴホッ・・・、いえ、黙っていた私がいけないんです、だって、今日はどうしても、あなたにお会いしたかったから・・・。」
ナスビー「ナスミさん・・・、そんな・・・♡」
日頃、ナスミさんと話すことなどほとんどなかったナスビー博士は、突然手紙をくれた理由など聞きたいことが山々でしたが、嬉しさと緊張のあまり、何も聞けませんでした。
その上、風邪を引いているというナスミさんが心配で、これからどうしようものかとあたふたしていました。
ちょうどそのとき、クリビーたち3人もロビーに到着しました。
ナスビー博士とナスミさん(?)の姿を目にした3人は慌てて正面に飾ってあったクリスマスツリーの裏側に隠れます。
クリビー「え???あれって、ナスミさん!?」
モモビー「えー!?マジか!?」
ネギーン「ナスの女性?に見えますが、でも、ナスミさんとは、どこか違う気が・・・。」
クリビーたち3人がいることに全く気付いていないナスビー博士とナスミ(?)さん。
ナスミ(?)「あの、着いて早々、大変申し訳ないのですが、一度、予約してるお部屋に行って一休みしませんか・・・?」
ナスビー「もちろんです!体調が悪いんですから、ゆっくりいたしましょう!私も無理してまでスキーなんかしなくても、ナスミさんと一緒にいられればそれで・・・!」
ナスミ(?)「ありがとうございます。ナスビーさんは、本当にチョロい・・・いや、おやさしいのですね!それでは、ワタクシ、先に部屋の鍵を受け取ってますので・・・行きましょう。」
先に受付を済ませているというナスミさん(?)はナスビー博士を連れて、受付のカウンターのもっと奥の方の通路へと進んで行きました。
クリビー「さっ・・・!追おう!」
ナスビー博士たちを追っていくと、さっき通った建物の入り口と反対側にある入り口まで来ました。この建物の1階は、駅方面の入り口と、スキー場方向の入り口の2カ所を通り抜けできる状態になっていたのです。
ナスビー「え?このままだと外に出てしまいますが・・・。」
ナスミさん(?)「ナスビーさん、今日ワタクシたちが泊まるお部屋は、この建物とは少し離れたところにあるロッジを貸し切りにさせていただいてますの。」
ナスビー「え!?ロッジを、貸し切りですか!?」
ナスミ(?)「そうですの。少しだけ移動しなければいけないのですが、ついていらして下さいね。」
ナスビー「全然いいですとも!」
雪の中のロッジを2人きりで貸し切りというとてもロマンチックな設定を聞き、めちゃくちゃテンションの上がっているナスビー博士でした。
こうしてナスビー博士はナスミさん(?)に連れられるがまま、スキー場のある方向とは違う雪道を進んでゆきました。
しばらく進むと、人目につかないような林の中に来ました。
そこには、ロープウェイの、ロープもウェイもない、箱だけのようなものが1台、置いてありました。
ナスミ(?)「これに乗りますの。」
ナスビー「ええ!?これに!?・・・ロープウェイ???みたいですが、これ、そもそも、ロープもウェイもないじゃないですか?!どうやって動くんですか!?」
ナスミ(?)「コホン、ワタクシ、1つだけお借りして、改造しましたの。」
ナスビー「どういうことですか???」
ナスミ(?)「さあさ、気にしないで、乗っていらして。」
ナスビー博士とナスミさん(?)は、そのロープもウェイもないロープウェイに乗り込みました。
追いついたクリビーたち3人は慌てて、そのロープもウェイもないロープウェイの外側に付いている縁の部分にしがみつきました。
ナスミ(?)「出発しますわ。」
ナスミさんは何やらポケットからラジコンの操縦機のようなものを取り出し、カチャカチャとボタンを押していました。すると、そのロープもウェイもないロープウェイはドローンのような4つ足のプロペラを雪の中から繰り出して、上空へと舞い上がって行きました。
ナスビー「うひゃー!!!このロープウェイ、飛ぶんですね!!!」
ナスミ「ウフフ♡すごいでしょ?・・・ナスビー博士、あなたには絶対にマネできない技術よ♡」
ナスビー「はははっ!ナスミさん、そんなご冗談、やめて下さいよ~。」
そう何気なく自分で言ったナスビー博士でしたが、はて?
『ナスビー、おまえには、絶対にマネできない技術だ。』どこか聞き覚えのあるフレーズ・・・
そんなことを思いました。
機体の外にしがみついているクリビーたち3人は・・・
クリビー「ぎょええええええ!!!!!!」
ネギーン「まさかこんなに高く飛ぶなんて!!!!!!」
モモビー「ギャグ漫画じゃなかったらおれっちたち全員●んでるだろっ!!!!!!」
普通だったら、外でしがみついてるなんて無理だよね。
ギャグだから許してね!
しばらく飛行すると、やがてスキー場とはだいぶ離れた雪山の上の方に着陸しました。
ナスミ(?)「着きましたわ。さて、ここから少し歩きますの。」
またナスミ(?)さんに言われるがまま、ナスビー博士は、もう、ここがどこだかわからないような雪山の中の雪道を進んで行きました。
クリビーたち3人も、木や雪の陰に隠れながら、ナスの2人を追いました。
モモビー「なあ・・・なんか、めっちゃ嫌な予感がしないか・・・?」
クリビー「嫌な予感って・・・?」
ネギーン「嫌な予感どころか、もうここまで来たら、既に僕たち大ピンチな状況ですよ~!どうしましょう、、、あの変なロープウェイに乗ったせいで、帰る方法がわからなくなってしまいました・・・。」
モモビー「それもあるけど、そうじゃなくて、なんか、その、あの女の人の雰囲気、すごく怪しくないか・・・?」
クリビー「怪しいって・・・?」
モモビー「う~ん、なんか上手く説明できないけど、おれっちの野生の勘だと、なんかすごく不自然な気がするんだ・・・」
ネギーン「確かに・・・。博士はナスミさん(?)だと思って会話してるみたいですけど、やっぱり違うような気がしてきました・・・。」
少し遠くからナスビー博士たち2人の様子を見ていると、先程ナスミさん(?)が言っていた一軒のロッジがポツンと建っていました。しかしまあ、あのスキー場と同じ宿泊施設と言っていましたが、こんな離れた場所にあるのが不思議です。
ナスミ(?)「ここよ、着いたわ!どうぞお入りになって!」
ナスミさん(?)はロッジの鍵を開けると、自分が先にロッジの中に進み、ナスビー博士を案内しました。
2人がロッジの中に入ったところを確認すると、クリビーたちもロッジに近づいてゆきました。
クリビー「窓から覗いてみよう!」
つづく
