【第33話】自分に合った友達#4

おはなし

色々とありましたが、道中、マルナス助手に出会ったネギーン。

実験の手伝いを頼まれ、マルナス助手と一緒に、ナスビー博士の研究所の方へと歩いてゆきました。

研究所へ向かう途中、ネギーンはマルナス助手に質問をしました。

ネギーン「あの、実験のお手伝いって、どんなことをすればいいんですか?」

マルナス「それがネ、ワタシたち、『AI未来予想VR』っていう装置を開発したんデス!」

ネギーン「AI(えー、あい)・・・人工知能に、VR(ぶい、あーる)・・・バーチャル・リアリティの組み合わせですか!なんかすごそうな装置ですね!」

マルナス「デショ〜!この装置を使うと、その人の7年後の未来と、それから更に14年後の未来の映像がリアルに体験できるのデ〜ス!」

ネギーン「未来を体験ですか!?それはとても面白そうです!!!」

マルナス「さすがデス!ネギーン君なら興味を持ってくれると思ってマシタ!それでネ、お手伝いというのは、この装置をネギーン君に体験してもらうことなのデス!もちろん、安全性については保証されてマス!」

ネギーン「ぜひぜひ!体験してみたいです!」

マルナス「よかったデス!お礼に少しだけお小遣いもあげマスヨ!・・・本当はナスビー博士に体験してもらう予定だったんデスケド、直前になって『俺は未来を知りたくない!』って言い出して・・・そこにたまたまニラッチさんに似た人が外をウロウロしているのを窓から発見して、博士は外に飛び出して行ってしまったんデス。」

ネギーンは、そうだったんですね!と頷きつつ、ナスビー博士が『未来を知りたくない』と言い出した理由が思い浮かびました。

(第1話から読んでくれているみなさんも思い浮かびましたか?笑)

ナスビー博士の7年後・・・ナスミさんが誰かと結婚してしまっていたら・・・?それが知りたくなかったのかもしれません。

という、ネギーンの想像でした。

ネギーン「僕は今、9歳だから、7年後は16歳です。高校2年生の年齢になりますね。」

マルナス「そうダネ!それから更に14年後は、16+14=30で、ちょうど30歳の未来が見られるヨ!」

ネギーン「30歳ですか〜!?すごいです、めっちゃ大人になってる僕・・・楽しみですぅ!」

2人は話をしているうちに研究所に到着しました。

・・・

マルナス助手は、ネギーンを連れて研究所の2階の実験室に案内しました。

ネギーン「ここが研究所の実験室なんですね!こんな本格的な造りになっていたなんて・・・かっこいいです!僕、2階におじゃまするのは初めてで!」

マルナス「そうだったデスカ!まあ、いつも君たちが遊びに来てくれるのは1階のナスビー博士の昼寝部屋ですからネ。」

2階の実験室には見たこともない装置がたくさん置かれていました。

大きなモニターに操作パネル、何に使うかわからない電源装置らしきもの、触ったらビリビリと危ない電気が流れていそうなケーブルに、換気ダクト、何を育てるためなのかわからない怪しい水槽・・・

マルナス「さあ、早速だけど、コレを頭にかぶってみて!」

ネギーンが部屋の中の装置をキョロキョロ見回していると、マルナス助手は例の『AI未来予想VR』という装置を持ってきてくれました。

ネギーン「へ、変なカタチ・・・変な色・・・ですね。」

マルナス「やっぱりそう思いマス?ナスビー博士がこのデザインにしたいと言うので・・・デザインセンスについては勘弁して下サイ・・・。」

それはヘルメットの形をした、ゴーグルとヘッドフォンがドッキングしたような装置でした。

もっと近未来的なカッコイイ装置かと思いましたが、あまりカッコイイとは言えないデザインでした・・・。

ネギーンはそのヘルメット型の装置を頭にすっぽりとフィットさせました。

マルナス「じゃあ、早速、実験をはじめるヨ!」

ネギーン「お願いします!」

マルナス「今から、ネギーン君の7年後の、予想された未来の映像が流れるヨ。ただ映像を見ているだけじゃなくて、まるで君が未来の君になったみたいに体験できるカラ!楽しみにしててネ!」

ネギーン「はい!」

このときネギーンの心の中には『ちょうど、知りたいこと』がありました。

それは、お父さんとお母さんが言っていた『自分に合った友達』のことです。

ネギーン「(16歳の僕は、高校2年生です・・・。ということは、今の小学校の友達とは別れて、僕と同じく勉強をたくさんしたい子たちが集まる進学校の高校に入っているはず。そこで、僕は『自分に合った友達』に出会えて、充実した高校生活を送っているのでしょうか・・・!)」

ネギーンはVR(バーチャル・リアリティー)の仮想現実の体験をすることで少し緊張していましたが、同時に期待がいっぱいの未来を見られることで、とてもワクワクしていました。

マルナス「スイッチ、入れマース!」

みょみょみょみょみょみょみょ・・・・・・・・・・・!!!

ネギーン「うわーーーーーーーーーーーー!!!」

突然、聞いたことのない不思議な音がして、ネギーンの目の前は真っ白になりました。

・・・

気が付くと、ネギーンはもう16歳のネギーンになっていました。

ネギーン「(はあ・・・、今日もまた苦手な『休み時間』が来てしまいました・・・。)」

ネギーンは高校の、自分のクラスの教室にいました。

目の前には、いつも同じ『グループ』で行動することの多い、黒豆のクロマメオ、すもものスモモビー、メロンのメロ太がいました。

クロマメオ「おいッ!ボケてんだから、拾えよw」

ネギーン「え・・・!?」

ワーッハハハハハーッ!まじウケるw

『ドッ!』と、クロマメオ、スモモビー、メロ太が大笑いして湧いています。

ネギーン「ごめん、どういう意味です?」

クロマメオ「どういう意味です?w」

スモモビー「天然かよw」

メロ太「オモロいわwやっぱネギは『イジり甲斐』あるw」

ネギーン「あ、あの・・・この語尾についてる『w』って何なんですか?」

クロマメオ「wwwww」

スモモビー「草生えまくりwwwww」

メロ太「もはや大草原wwwww」

ネギーン「・・・(意味がわからないですぅ・・・。)」

ネギーンは黙っていました。

決して楽しそうとは言えない、高校の休み時間。どうやら、ネギーンはクロマメオたちと一緒にいるものの、『イジられキャラ』として扱われ、いつも3人から、からかわれているようです。

実は、装置のAI(人工知能)が予想した7年後の未来では、高校生たちの間に『お笑いトーク』ブームが起きていました。

テレビなどの映像メディアでは、トークが面白くてカッコイイお笑い芸人が人気になっていました。

高校生たちも、お笑い芸人の鋭いツッコミ、イジりをマネして、笑いを取ることが流行っていたのです!

ネギーンの通っている高校は、勉強ができる子供たちばかりが集まった進学校。進学校には真面目で温厚な性格の生徒が多いのかなと想像していたネギーンですが、どうやら、たまたまネギーンが友達?になった生徒たちは、勉強はできるけど、ちょっと『要領(ようりょう)がいい』、ずるがしこいような性格の子が多いみたいでした・・・。

ネギーン「(はあ・・・僕が想像していた高校生活と全然違います・・・。)」

つづく