ネギーンはそのまま町はずれの方へと散歩を続けることにしました。
すると、目の前から、今度は、マルナス助手が走ってきました。
ネギーン「ええー!?マルナスさんまで!?」
マルナス「ネギーン君!!!今、この辺りでナスビー博士を見なかったデスカ!?」
思った通り、マルナス助手はナスビー博士を追いかけていたのでした。
ネギーン「結構、前ですが、イコイコ公園ですれ違いましたが・・・。」
マルナス「んもぅ~!!!博士ったら!!!今日テストしないとコンテストに間に合わないのにィィィィィィィー!!!!」
マルナス助手はキィー!となって怒っていました。
ネギーンは事情を聴きました。
まあ、いつものことです。ナスビー博士が約束を破って仕事をサボって飛び出して行ってしまったというのです。
ネギーン「あの、誰かを追いかけているみたいでしたけど・・・。」
マルナス「ああ、ニラッチさんのことでショ。人違いだと思うんデスけどネ。それに、会ったところでニラッチさんも・・・。」
ネギーン「その、ニラッチさんて誰なんですか?」
マルナス「ニラッチさんは、ナスビー博士の大学時代の研究仲間だったんデスよ。」
ネギーン「研究仲間・・・?お友達ってことですか?」
マルナス「まあ、博士は『一番の親友』だと言い張ってますケド・・・。」
ネギーン「一番の親友!?とても仲が良い人なんですね!」
マルナス「昔は・・・ネ。博士とニラッチさんは大学時代に出会って以来、それはとても仲が良かったって話デス。ニラッチさんはロボット工学の天才って言われてて、本当は彼と一緒に会社を作って便利なロボットをたくさん開発したかったみたいなんデス・・・。」
ネギーン「そうなんですね。お2人はそれほど仲が良かったんですね!」

ネギーンはマルナス助手からナスビー博士とニラッチがとても仲が良かったというエピソードを聞きました。
ネギーン「・・・でも、どうして、2人で会社を作るのはやめちゃったんですか・・・?」
マルナス「・・・それがネ、ここだけの話、博士には秘密にして下さいよ、どうやら博士の方がニラッチさんを怒らせるようなことをしたみたいなんデス。何があったのかは2人の間にしかわからないですが、ニラッチさんは大学の卒業式の前日に、失踪(しっそう)してしまったんデスよ・・・。」
ネギーン「しっ、しっそうですか!?」
マルナス「そうなんデス・・・。それ以来、ニラッチさんの姿を見た人はいまセン。どこか遠い国に行ってしまったんじゃないかとの噂デス。ナスビー博士の顔も見たくないほどの、よっぽどの出来事があったのかもしれまセン・・・。」
ネギーン「そうだったんですか・・・。」
マルナス「でも、ですヨ!博士の方はニラッチさんのことを今だに一番の親友(継続中)だと信じてるみたいなんデス・・・。自分が原因でニラッチさんがいなくなったとは1ミリも気づいていないんデスヨ・・・。」
ネギーンはマルナス助手の話を聞いて驚くも納得してしまいました。
ナスビー博士の謎な自信、ポジティブ思考、鈍感さからすると、そんなことが起きていても不思議ではないと思いました。
ネギーン「なぜマルナスさんはお2人の間に起きた事件のことを知ってるんですか?」
マルナス「そりゃ、ニラッチさんはロボット工学の天才として有名でしたから!ワタシ、ニラッチさんがいたから同じ大学に入ったんデス。ちょうど3年違いでワタシが遅れて大学に入ったのデスが。あの事件が起きたときはすぐに噂も広まり・・・まぁ、真相はわからないでデスがね・・・。」
ネギーン「え!つまり、ナスビー博士も、ニラッチさんも、マルナスさんも、同じ大学の卒業生だったんですね!」
マルナス「そうデスヨ!厳密に言うと、ニラッチさんは卒業式に出なかったので中退になりマスが・・・。ナスビー博士と知り合ったのもニラッチさんのおかげというか。いや〜、ニラッチさんのロボットを作る才能と言ったら本当に天才的で、それはそれは痺れるカッコ良さのメカを作るのでネ・・・。(それに比べて、ナスビー博士のセンスの無さ、技術の無さと言ったら、、、どうやってあの大学を卒業したのか・・・。)でも、ニラッチさんてすごく才能あるんだけどネ、実際に会ったらまあ結構な気難しい性格で・・・決して明るいとも親切とも言えない、やたらネガティブというか。(それに比べて、ナスビー博士はいい加減で、能天気で、妙にポジティブというか・・・。)」
マルナス助手は何か言いたそうでしたが、カッコ( )の中の心の声はネギーンには聞こえませんでした。
ニラッチのことは全く知らないネギーンでしたが、マルナス助手の話を聞いていると、なぜナスビー博士とニラッチが仲が良かったのか不思議な感じがしました。ナスビー博士とニラッチはまるで対照的な性格です・・・。
2人はお互いに『自分に合った友達』だったんでしょうか?
今はケンカ中?
ナスビー博士にとっては今も親友?
大人になったら『友達』って何?という疑問は解決すると思っていたネギーンですが、今もなお友達との関係がウヤムヤになっているナスビー博士の話を聞いて、少しショックでした。
ネギーン「実は僕、ナスビー博士に用事があって研究所に行こうとしてたんですけど、また今度にしますね。・・・それでは!(・・・本当はナスビー博士に相談しようと思ってたけど、友達と上手くいっていない人に友達のことを相談してもしょうがないですぅ・・・。)」
マルナス「あ!ちょっとマッテ、ネギーン君!」
ネギーン「?」
ネギーンはその場を立ち去ろうとしましたが、マルナス助手からこんな提案がありました。
マルナス「もし、今少し時間があったら、例の、ナスビー博士がサボった実験のお手伝いをしてくれないカナ???」
ネギーン「実験のお手伝いですか?」
ネギーンは立ち止まり、マルナス助手の話を聞くことにしました。
つづく


